TOP > 婚約不履行の慰謝料請求書
一般的な、婚約している当事者間における、婚約破棄に対する慰謝料請求書の文例です。
感情的に非難罵倒することは避け、客観的に、これまでの事実経緯を記載し、法的根拠や具体的に被った精神的苦痛の内容を説明し、相手の良心に訴えかけることを考慮した方が、遥かに効果的です。
婚約不履行の慰謝料請求書 平成●年●月●日
被通知人 冠省。 私は、貴殿と、平成●●年●●月●●日に、●●●●を通じて知り合い、同年●月より交際をするようになりました。 そして、平成●●年●●月●●日に貴殿は、私に正式にプロポーズし、私がこれを了承し、有効に婚約が成立しました。 その後、同年●●月●●日には、双方の両親への挨拶も済み、婚約指輪を受け取り、結婚式場の予約等も進めてまいりました。 さらに、翌年●月には、結婚後に住む部屋を探そうということになり、アパートの賃貸借契約の際、貴殿を借主とし、私は続柄を「婚約者」として、連帯保証人になりました。 当然、親戚や知人、友人にも私が結婚するという話は伝わっています。 しかしながら、●●月●●日、貴殿は、私に対し、一方的に「両親が反対しているから結婚はやめる」等とメールで別れを告げ、以後、私が電話を掛けてもコールするのみで、一切折り返しもなく、メールを送信しても返信もなく、何らの説明すらも頂けない状態となってしまいました。 そのため、私は、今までの交際中の出来事などを、何度も振り返っては考え、今までの●年間は一体何だったのだろうかと、とても辛く苦しくなり、あまりのショックで、到底、受け入れ難い現実に、連日にわたって泣き続けました。 そして、食事も喉を通らず、夜も眠れず、仕事も手につかず、日常生活もままならない状態に陥ってしまいました。 さらには、心から祝福し、自分のことのように喜んでくれた両親や親戚、友人達までも、結果としては、悲しませることになってしまい、胸が痛む思いですし、未だ、職場の方々には、今回の事実を打ち明けられないでおります。 よって、私の受けた精神的苦痛は、とても書面では語りつくせないものであり、損害は甚大ですし、本来、如何なる金銭をもってしても、回復することは不可能だと思います。 当然ながら、貴殿の行為は明らかな婚姻予約の不履行(いわゆる「婚約破棄」)であり、何等の正当な理由もない不法行為ないし債務不履行となります。 すでに、以下のとおり、判例上も、不当な婚約破棄に対して慰謝料の請求をすることが、正当な権利として認められております。 最高裁判所 昭和38年9月5日判決 「当事者が真実夫婦として共同生活を営む意思で婚姻を約し長期にたり肉体関係を継続するなど原審判決認定の事情(原審判決理由参照)のもとにおいて、一方の当事者が正当の理由がなくこれを破棄したときは、たとえ当事者がその関係を両親兄弟に打ち明けず、世上の習慣に従って結納をかわし、もしくは同棲していなくても、相手方は、慰謝料の請求をすることができる。 」 さらには、当事者の親など、第三者の関与による破棄の場合には、その第三者の不法行為責任が認定されています。 最高裁判所 昭和38年3月26日判決 「婚姻予約当事者の一方が自己の親に加担し、もしくは親が右当事者本人に加担し、他の一方をして婚姻を断念せざるを得ない境地に陥れて婚姻予約を破綻させた場合、これについて正当の事由を有しないときは、共同不法行為として各自連帯して損害賠償の責任を免れ得ない。 」 つきましては、私は貴殿に対し、せめてものケジメとして、本書面を以って、以下のとおり要求する次第です。
なお、本通知書で提示している条件は、あくまで裁判外での示談をする場合のものであり、貴殿に対して過分な費用や労力の負担を発生させないために提示しているものであります。 よって、もしも本書面到着後1週間以内に、何らの回答も頂けない場合には、残念ながら、弁護士に一任の上、●●地方裁判所に対し、慰謝料等請求事件として訴訟を提起せざるを得ず、その場合には、上記請求金額の増額のみならず、弁護士費用や訴訟費用も付加して請求することになりますので、ご承知おき下さい。 また、今後の連絡事項については、すべて書面のみとし、くれぐれも私の家族等への電話や訪問等の直接折衝などはご容赦下さい。 以上、宜しくお願い申し上げます。
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